年間休日を増やすと、残業代の単価も上がる
- rainbowwave48
- 2 時間前
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― 労働日数・休日日数の設定と割増賃金の関係
従業員の労働日や休日は、法令の範囲内であれば会社が自由に定めることができます。就業規則で具体的に定めている会社もあれば、毎年、年間カレンダーを作成して定めている会社もあるでしょう。
近年は、就職先を選ぶ際に年間休日数を重視する傾向があると言われており、採用力の強化や既存従業員の定着を目的に、年間休日を増やす会社も増えています。
ただし、休日を増やすと割増賃金の単価が上がるという、見落とされがちな影響があります。今回は、法律上定めることができる最大の労働日数・休日日数の考え方と、休日日数を増やしたときの割増賃金への影響を整理します。
1年間に働かせることができる時間の上限
労働基準法では、1週間につき40時間、1日につき8時間を超えて労働させてはならないと規定されています(法定労働時間)。
この週40時間という上限から逆算すると、1年間(365日)に働かせることができる時間の上限は、次のとおり約2,085時間となります。
40時間 ÷ 7日 × 365日 ≒ 2,085時間
仮に1日の所定労働時間が1年間を通じて8時間の会社であれば、次のように計算できます。
● 最大の所定労働日数 … 2,085時間 ÷ 8時間 ≒ 260日
● 必要となる所定休日数 … 365日 − 260日 = 105日
つまり、1日8時間労働の会社では、年間休日105日程度が実質的な下限の目安になります。
なお、うるう年(366日)の場合は約2,091時間(40時間÷7×366日)が上限となり、最大の所定労働日数は261日(2,091時間÷8時間)、所定休日数は105日(366日−261日)です。
※ 変形労働時間制を採用している場合や、1日の所定労働時間が8時間未満の場合は、上記とは異なる計算になります。
割増賃金の計算方法をおさらい
法定労働時間を超えて働かせたとき、法定休日に働かせたとき、また深夜(午後10時~翌午前5時)に働かせたときは、割増賃金の支払いが必要です。
割増賃金は、次の計算式で算出します。
1時間当たりの賃金額 × 時間外労働・休日労働・深夜労働の時間数 × 割増賃金率
そして、月給制の場合の「1時間当たりの賃金額」は、次の式で求めます。
1ヶ月の所定賃金額 ÷ 1ヶ月の平均所定労働時間数
ここでの「1ヶ月の平均所定労働時間数」は、就業規則や年間カレンダー等で定めた1年間の所定労働時間数を12ヶ月で除したものです。特定の月の労働時間数ではない点に注意してください。
あわせて確認しておきたい2点
● 除外できる賃金がある … 家族手当、通勤手当、別居手当、子女教育手当、住宅手当、臨時に支払われた賃金、1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金は、単価計算の基礎から除外できます。ただし、いずれも実態が要件を満たしている必要があり、一律支給の「家族手当」などは除外が認められません。
● 割増賃金率 … 時間外労働は25%以上、法定休日労働は35%以上、深夜労働は25%以上。1ヶ月60時間を超える時間外労働については50%以上となります。
休日日数を増やすと、割増賃金の単価が上がる
ここからが本題です。
1日の所定労働時間を変更せずに所定休日日数を増やすと、1年間の所定労働時間数が減少します。その結果、割増賃金を計算する際の「1ヶ月の平均所定労働時間数」も減少します。
計算式は「1ヶ月の所定賃金額 ÷ 1ヶ月の平均所定労働時間数」ですから、分母が小さくなれば、1時間当たりの賃金額は上昇します。ひいては、割増賃金の単価も上がることになります。
試算例(1日8時間・月給26万円・除外賃金なしの場合)
年間休日 | 所定労働日数 | 年間所定労働時間 | 1ヶ月平均所定労働時間 | 1時間当たりの賃金額 | 時間外1時間あたり(25%増) |
105日 | 260日 | 2,080時間 | 173.33時間 | 1,500円 | 1,875円 |
120日 | 245日 | 1,960時間 | 163.33時間 | 1,592円 | 1,990円 |
125日 | 240日 | 1,920時間 | 160.00時間 | 1,625円 | 2,032円 |
130日 | 235日 | 1,880時間 | 156.67時間 | 1,660円 | 2,075円 |
※ 1時間当たりの賃金額は円未満を切り上げて表示しています。端数処理の方法は会社の規程によります。
年間休日を105日から125日へ増やした場合、時間外労働の単価は1時間あたり約157円上昇します。月20時間の時間外労働があるとすれば、1人あたり月3,000円強、年間では約4万円弱の差となり、従業員数が多いほど影響は大きくなります。
もちろん、休日が増えれば所定労働日そのものが減るため、人件費全体の増減は業務量の調整とあわせて考える必要がありますが、「割増賃金の単価は確実に上がる」という点は押さえておきたいところです。
見落としやすい落とし穴 ― 給与計算ソフトの設定
割増賃金の計算は、給与計算ソフト等に「1ヶ月の平均所定労働時間数」をあらかじめ設定しておき、時間外労働の時間数等を入力することで自動計算しているケースが多いと思います。
そのため、休日日数を増やしたにも関わらず、ソフトに設定した時間数が以前のままになっているという事態が起こりがちです。この状態では割増賃金の単価が実際より低く計算され、賃金の未払いにつながります。
● 年間カレンダーを変更した
● 就業規則の所定労働時間を見直した
● 特別休日を追加した
こうした変更を行った年度は、給与計算ソフトの設定値が更新されているか、今一度確認しておきましょう。過去に遡って差額精算が必要になると、事務負担も金銭的負担も大きくなります。
まとめ
● 1日8時間労働の場合、法定労働時間の枠から、年間の所定労働日数は最大260日、所定休日数は105日が目安となる
● 割増賃金の単価は「1ヶ月の所定賃金額 ÷ 1ヶ月の平均所定労働時間数」で決まる
● 所定休日日数を増やすと分母が減り、割増賃金の単価は上昇する
● 年間カレンダー変更後は、給与計算ソフトの「1ヶ月の平均所定労働時間数」の設定を必ず見直す
年間休日数の設定は、採用や定着に直結する重要な労働条件です。増やすこと自体は前向きな取り組みですが、割増賃金への影響も念頭においたうえでご検討ください。
年間カレンダーの見直しや就業規則の変更をご検討の際は、当事務所までご相談ください。

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