【2026年4月改正】健康保険の被扶養者認定基準はどう変わった?判断のポイントを解説
家族を健康保険の被扶養者にするには、いくつかの要件を満たしたうえで保険者の認定を受ける必要があります。その要件のなかでも大きなポイントとなるのが「家族の年間収入」です。
2026年4月1日から、この年間収入の考え方の一部が変更されました。今回は、変更内容と実務上の判断のポイントを整理します。
1.2026年4月1日以降は「労働条件通知書」で判定
2026年4月1日以降、被扶養者となる家族の収入が給与収入のみである場合には、労働条件通知書等に記載されている給与から年間収入を判定することになりました。
ここで判定の対象となる給与について、注意したいのが残業代の取扱いです。労働契約に明確な規定がなく、労働契約の段階では見込みにくい時間外労働(残業等)に対する賃金は、年間収入には含まないとされています。
判定方法の変更点
2026年3月31日まで | 2026年4月1日以降 | |
主な判定資料 | 給与明細書、課税(非課税)証明書等 | 労働条件通知書等に記載されている給与 |
残業代の扱い | 実際に支払われた給与に含まれる | 契約に明確な規定がなく見込みにくい残業代は含まない |
2.労働契約の内容で判定できないときは?
労働契約を結ぶときには、所定労働日や所定労働時間を決めることが原則です。ただし、労働契約を締結する時点では労働日や労働時間を確定的に定めず、一定期間(1週間、1ヶ月など)ごとに作成される勤務シフトによって、初めて具体的な労働日や労働時間が確定する、いわゆる「シフト制」を用いることがあります。
このように、労働契約の内容によって年間収入が判定できない場合には、2026年3月31日までの方法である給与明細書、課税(非課税)証明書等により年間収入を判定することになっています。
同様の取扱いとなるケース
● シフト制など、契約時点で労働日・労働時間が確定しない働き方
● パートタイマー等で、1年に満たない有期契約を締結している場合
いずれも契約内容だけでは年間収入が判定できないため、従来どおりの資料による判定となります。
3.認定後に残業等で収入が上回ったときの取扱い
労働契約を結ぶ段階では残業等の見込みがないことから被扶養者と認定されたものの、実態としては残業等があったことにより、被扶養者としての認定を受けられる年間収入を上回ってしまうことがあります。
このときであっても、被扶養者としての認定が適切にされていたのであれば、認定された当初に遡って認定が取り消されるのではなく、被扶養者の要件を満たさなくなった時点以降で、被扶養者としての資格がなくなります。
ただし、被扶養者として認定された当初において、年間収入に係る誤りがあった場合等は、認定されたときに遡って被扶養者の認定が取り消されます。当初の申告内容が正確であるかどうかが、その後の取扱いを大きく左右する点に注意が必要です。
「年収の壁・支援強化パッケージ」による事業主証明
なお、「年収の壁・支援強化パッケージ」における事業主証明により、被扶養者として引き続き認定が受けられることがあります。一時的な収入の増加であることを事業主が証明することで、認定が継続される場合があるという取扱いです。
4.実務上のポイント
● 年間収入の「額」の基準そのものが引き上げられたわけではなく、
変わったのは判定の方法です。
● 新たに扶養に入れる家族がいる場合、まずは労働条件通知書等の内容を確認
しましょう。
● シフト制や1年未満の有期契約の場合は、従来どおり給与明細書や課税(非課税)証明書
等の準備が必要です。
● 申告内容に誤りがあると認定日まで遡って取消しとなり、その間の医療費の返還等が生
じるおそれがあります。
● 従業員とその家族に対して、被扶養者として認定される要件をわかりやすく説明してお
くことが重要です。
まとめ
今回の変更は、認定基準となる年間収入の額が拡大されたものではなく、あくまで年間収入をどのように判定するかという方法の見直しです。給与収入のみの家族については労働条件通知書等が判定の基本となり、それで判定できない場合は従来の方法によることになります。
従業員から扶養に関する相談を受ける場面も増えると考えられます。社内での案内や申請時の確認事項を、あらためて見直しておくとよいでしょう。
※ 具体的な認定の可否は、加入している健康保険の保険者(協会けんぽ、健康保険組合等)の判断によります。個別のご事情については、当事務所または保険者までお問い合わせください。
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本記事は、掲載時点(2026年9月)における法令・通達・公表資料等に基づき、一般的な情報提供を目的として作成したものです。個別の企業や事案に対する具体的な助言を行うものではありません。
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