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両立支援等助成金 2026年度(令和8年度)の主な変更点

執筆者の写真: rainbowwave48
rainbowwave48
18 時間前
読了時間: 7分

助成金制度は年度単位で予算が組まれるため、年度の初めに創設や改廃が行われることが多くなっています。2026年度(令和8年度)も、両立支援等助成金でいくつかの拡充が図られました。


両立支援等助成金とは育児・介護と仕事の両立支援に取り組む企業を後押しする助成金です。年度替わりの拡充ポイントを、実務の視点から整理しました。


ここでは、多くの企業で活用されている「出生時両立支援コース」「育休中等業務代替支援コース」「介護離職防止支援コース」の3つを取り上げ、主な変更点と実務上のポイントを確認していきます。


変更点の全体像

コース

2026年度の主な変更点(概要)

出生時両立支援コース

「男性労働者の育児休業取得率の上昇等」の対象が、業種にかかわらず常時雇用する労働者300人以下の事業主へ拡大

育休中等業務代替支援コース

手当支給の区分で労働者数要件が撤廃。代替要員の新規雇用の区分は300人以下へ拡大。業務代替手当の算定対象期間の上限が2年間に延長

介護離職防止支援コース

有給の介護休暇制度を導入し、実際に利用した従業員が生じた場合などを支援する区分が新たに設けられた

※ この表は概要をまとめたものです。詳細な要件や金額は、厚生労働省の支給要領・手引き(2026年度版)でご確認ください。



なお、2026年度からは「柔軟な働き方選択制度等支援コース」が設けられるなど、コース構成自体にも見直しが入っているとされています。育児期の働き方や、不妊治療・女性の健康課題への対応を検討している企業は、あわせて確認しておくとよいでしょう。



1.出生時両立支援コース


どのような助成金か


出生時両立支援コースは、男性が育児休業を取得しやすい雇用環境の整備などを行い、実際に男性従業員が育児休業を取得した場合に受給できる助成金です。

区分としては、「①男性労働者の育児休業取得」と「②男性労働者の育児休業取得率の上昇等」に分かれています。


2026年4月1日からの変更点


②について、2026年4月1日より、業種にかかわらず常時雇用する労働者が300人以下の事業主が対象となりました。これまでは、常時雇用する労働者が300人以下であっても、資本金が中小企業事業主の基準を上回っていたために対象外とされていた事業主がありましたが、こうしたケースも対象に含まれることになります。


また、男性の育児休業取得率を算定する際に、事実婚の状態にある男性労働者も対象に含める取扱いへ見直されたとされています。


実務のポイント


•    ①は引き続き中小企業事業主が対象と整理されているため、自社がどちらの区分を狙えるのか、事前の切り分けが重要になります。


•    取得率の上昇は複数年度の数値を比較して判定されるため、育児休業の取得状況を日常的に記録・集計できる体制が土台になります。


•    雇用環境整備(研修、相談窓口、事例の周知、取得を促す方針の明示など)は、取得が発生する前に着手しておく必要があります。



2.育休中等業務代替支援コース


どのような助成金か


育休中等業務代替支援コースは、育児休業を取得した従業員や育児のための短時間勤務者の業務を代わりに行う従業員へ手当を支給した場合、あるいは代替要員を新規雇用(派遣での受け入れを含む)した場合に受給できる助成金です。

区分は、

「①育児休業中の手当支給」

「②育児短時間勤務中の手当支給」

「③育児休業中の代替要員の新規雇用」

の3つで構成されています。


2026年4月1日からの変更点


•    ①と②について、支給対象となる事業主の労働者数要件が撤廃されました。

•    ③について、業種にかかわらず常時雇用する労働者の範囲が拡大され、300人以下の事業主が対象となりました。

•    育児休業期間中に他の従業員が業務を代替した場合に支給する業務代替手当について、 

助成金の算定対象となる手当支給期間の上限が2年間に延長されました。手当支給期間の上限の延長により、育児休業が長期にわたるケースでも助成の対象となりやすくなっています。代替期間が長くなりがちな職場では、活用の余地が広がったといえそうです。


実務のポイント


•    業務代替手当は、就業規則や賃金規程などに支給要件・金額・支給期間を定めて運用することが前提になります。規程の整備が後追いになると、支給対象として認められにくくなる可能性があります。

•    誰がどの業務をどれだけ引き受けたのかを示す記録(業務分担表、勤怠記録、手当の計算根拠など)を残しておくと、申請時の説明がスムーズになります。

•    代替要員の新規雇用では、雇入れの時期と育児休業期間の対応関係が確認されます。募集開始の時点から資料を保管しておくと安心です。



3.介護離職防止支援コース


どのような助成金か


家族の介護に直面した従業員の離職を防ぐため、介護休業の円滑な取得・職場復帰や、介護と両立しやすい制度の整備に取り組む企業を支援するコースです。中小企業事業主が対象と整理されています。


2026年4月1日からの変更点


2026年4月1日からは、有給の介護休暇を導入し、実際に利用した従業員が生じた場合など、要件を満たしたときに30万円(1回に限る)が支給される区分が設けられました。

また、一事業年度において介護休暇を年10日以上付与する制度とした場合は50万円という水準が示されており、制度利用者が有期雇用労働者である場合の加算(10万円)も用意されています。金額の適用区分は細かく分かれているため、申請前に手引きで確認しておくことをおすすめします。


実務のポイント


•    介護休暇の有給化は、就業規則の改定と従業員への周知が出発点になります。制度を設けても利用実績がなければ支給に結び付かないため、制度の存在を知ってもらう工夫が欠かせません。

•    介護は本人から申し出にくいテーマです。相談窓口の設置や、管理職向けの案内資料の整備が、制度の利用につながりやすくなります。

•    介護休暇と年次有給休暇、介護休業との違いを整理しておくと、現場からの問い合わせに答えやすくなります。


活用にあたって押さえておきたいこと


•    助成金には予算枠が設けられているため、活用しようと考えたときには受付が終了している場合があります。年度の後半は、受付状況をあらかじめ確認しておくと安心です。

•    多くのコースで、就業規則や規程の整備・届出、労働保険料の納付、労働関係法令の遵守などが共通の要件として設けられています。まずは足元の整備状況を点検することをおすすめします。

•    同じ従業員の同じ休業について、コース間で併給が調整される場合があります。複数のコースを検討するときは、組み合わせの可否を早めに確認しておきましょう。

•    申請には期限が定められています。育児休業や制度利用が終わってから慌てないよう、対象者が出た時点で申請スケジュールを逆算しておくとよいでしょう。


おわりに


2026年度の変更は、対象となる事業主の範囲を広げ、支援の対象期間を長くする方向のものが中心です。これまで規模の要件で対象外だった企業にも、検討の余地が生まれています。

一方で、助成金は「取り組んだ結果」に対して支給されるものです。制度の整備や規程の見直しを先に済ませておくことが、受給の可能性を高める近道になります。自社で活用できるコースがあるかどうか、対象者が出る前の段階でご相談ください。



【免責事項】

本記事は、掲載時点(2026年10月)における法令・通達・公表資料等に基づき、一般的な情報提供を目的として作成したものです。個別の企業や事案に対する具体的な助言を行うものではありません。

内容の正確性には十分留意しておりますが、その完全性・最新性を保証するものではなく、法令改正や行政解釈の変更等により記載内容が実際の取扱いと異なる場合があります。本記事の情報を利用されたことにより生じたいかなる損害についても、当事務所は責任を負いかねます。

 
 
 

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